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見渡す限り広大な大地が広がるアフリカ大陸。ここで私たち人類は生まれたと言われています。今、人口56億を超える人類の歴史は、ここから始まったのです。2本の足で立って歩く事、それは人間だけが持つ特徴なのです。人は森に住むサルから進化したと言われています。私たちの祖先は、ある時体をまっすぐに立てて2本の足で歩き始めました。アフリカの大地を踏みしめた第一歩、まさにその第一歩が、私たち人間を生んだのです。このページでは、いつ、どのようにして人間は動物と違う道を歩き始めたのか?その進化の謎に迫りたいと思います |
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| ◆ 人間と動物の大きな違いは? | |
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| ◆ 深い森の中でサル達の進化が始まる | |
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| ◆ 人間の祖先、プロコンスル | |
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| ◆ サルと人を分ける最大の特徴は?人間は脳から先に進化した? | |
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| 当時の人類学者の多くは、サルと人を分ける最大の特徴は脳の大きさであり、サルと人類の中間の生物とは脳が大きいサルに違いないと考えていました。ちょうどその頃、当時の専門家たちの仮説を裏付ける化石が、イギリスで見つかりました。地元の化石愛好家によって発見されたこの化石は、発見された町の名前をとって「ピルトダウン人」と名付けられました。「ピルトダウン人」は、頑丈な顎を持ち、歯の形もサルに近い特徴を持っていました。しかし、脳は非常に大きく、現代人とほぼ同じ大きさでした。この化石は人類の祖先として、 すぐに多くの研究者に受け入れられました。当時の人類学の権威、アーサー・キースは、脳の重さが750グラムを超えるかどうかが、サルと人の境界であると考えていました。この化石はその条件を満たし、多くの研究者が予想していた通り、サルから人間への進化の中で、最初に現れた特徴は、脳が大きくなる事だったと言うことを、はっきりと示していました。しかし、発見から40年以上もたってから、「ピルトダウン人」は、偽物だったことが判明しました。現代人の頭とオラウータンの顎をつなぎ合わせたものだったのです。人間は脳から先に進化したという考えの根拠は、もろくも崩れ去ってしまいました。 | |
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| ◆ 人が猿と別れた時、人の進化は足から始まった、アファール猿人 | |
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それから20年後、ダーウィンが人類誕生の地と考えたアフリカで、サルから人への進化の謎にせまる重要な発見がありました。エチオピアのハダール。ハダールとは現地の言葉で枯れた川という意味です。1年のほとんどの期間、雨がまったく降らない乾燥地帯です。ここで、アメリカとフランスの共同チームは、3年にわたって発掘を続けていました。そして、ついに人類の化石の内で最も古いものの一つを発見したのです。ルーシーと名付けられたこの化石こそ、400万年前に登場したアファール猿人だったのです。アファール猿人の脳はおよそ400グラム、チンパンジーと変わりません。顎が頑丈な事や腕が長く足が短いことなど、サルに近い特徴を多く持っていました。しかし、アファール猿人は、2本の足で歩くという人間にしかない特徴も備えていたのです。 |
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| ニューヨーク州立大学のランドール・サスマン博士は、ルーシーに代表されるアファール猿人の歩き方がどの様なものだったのか?骨格の形から推測しています。 サスマン博士は、アファール猿人の骨格を現代人やチンパンジーなどの骨格と詳細に比較しました。その結果、アファール猿人の体には、2本の足で歩いていたと考えられる点がいくつもあることがわかりました。中でも注目されたのは骨盤の形です。アファール猿人の骨盤は、内臓の重みを下から受け止めるように、横に大きく広がっています。一方、4本の足で歩くチンパンジーの骨盤は、幅が狭く縦に長い形をしています。アファール猿人の骨盤は、それとは明らかに違い、現代人のものとよく似た形をしています。さらに、大腿骨は関節の形から推測すると、腰から膝に向かって内側に傾いて付いていたと考えられます。こうなっていると、膝から下は体の中心に近いところにくるため、片足で立っても体重を支えやすくなっています。これは、2本の足で歩く現代人と同じ行動で、4本の足で歩くサルには、まったく見られないものです。R・サスマン博士:アファール猿人は、明らかに2本の足で歩いていました。しかし、アファール猿人の脳は、非常に小さくチンパンジー位の大きさしかなかったのです。脳が大きくなり知性が発達することは、人類の進化の中で最初に起こったことではありません。最初に起こったのは、2本の足で歩くことだったのです。アファール猿人は膝や腰は少し曲がっていますが、しっかりと2本の足で歩く事ができたとサスマン博士は考えています。アファール猿人の発見は、人がサルと別れた時、最初に現れた特徴は何かというダーウィン以来の謎に最終的な決着をつけるものだったのです。 | |
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| ◆ 4本足から2本足で歩けるようになるまでの謎?ミッシンググリーク | |
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2本足で歩く人類は、おそくとも400万年以上前には誕生していたと言われています。ルーシーに代表されるアファール猿人は、身長1M余り体重30キロほどで、まだサルに近い特徴を持っていました。脳の大きさも、今のチンパンジーと同じ位だったのです。しかし、ちゃんと2本足で歩くことができました。ところが、人類の祖先と言われるプロコンスルは、森の木の上を4本の足を使って渡り歩く小さな動物に過ぎませんでした。このプロコンスルを見ると、2本の足で歩けるようになるとはとても思えません。プロコンスルが登場したのは1800万年前、アファール猿人が登場したのは400万年前、その間は優に、1千万年以上あります。そこにどのような進化の道筋があったのか?人類の起源を知る手がかりとなる化石は、ほとんど見つかっていません。この空白の時間はミッシングリークと呼ばれ、まったくの謎とされてきたのです。この空白の時間に一体何が起こったのでしょうか?その謎を説くヒントが、実は人類の祖先が生まれ育った森にあったのです! |
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| ◆ 人間はどのようにして2本足で歩くようになったのか? | |
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| 人間が2本の足でバランス良く歩くために欠かせない中殿筋。その同じ筋肉が、木の幹をよじ登る時に使われているのです。木の幹に前足で捕まりながら、後ろ足で体を上に押し上げる動き。足や腰の他の筋肉を調べてみても、この動きと人間が2本足で歩く時の動きには、多くの共通点がある事が分かりました。実は、この木登りが、2本足で歩くための訓練になっていたのではないかと考えられるのです。また、チンパンジーのように体重の重いサルは、木の枝の上を歩くのではなく、枝からぶら下がることが多くなります。このとき背骨はまっすぐに伸びています。これもまた、まっすぐに立つための訓練になっていると考えられることです。どの様にして2本足で歩くようになったのか?その謎を説くのはそんなに難しいことではありません。私達はチンパンジーや他のサルを参考にして、2本足で歩き始めた人類の祖先の姿を想像することができます。それはたぶん、500万年以上前の森に住む体が大きくて木登りの上手いサルだったのではないでしょうか? | |
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| ◆ 人間とチンパンジーはいつ頃別れたのか? | |
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| ◆ 人間とチンパンジー、二つの運命を分けた出来事とは? | |
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| ◆ 森から草原への変化が人類とチンパンジーを分けた | |
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| 2本の足で歩き始めたアファール猿人ルーシーは、南北につらなる山脈の東側で発見されました。アファール猿人がどんな環境の中で暮らしていたのか?現在の光景から伺い知ることは出来ません。しかし、同じ地層の岩石の中には、当時の植物の花粉が含まれていました。フランス、マルセイユ大学の、レイ・ボンヌフィーユ博士は、この花粉を手がかりにアファール猿人が住んでいた環境を知ろうとしています。岩石の中からは様々な樹木の花粉に混じって稲科の植物の花粉が大量に発見されました。稲科の植物は深い森の中にはほとんどなく、草原のような開けた場所に多い植物です。アファール猿人は、確かに鬱蒼とした森ではなく、疎らに木が生えた草原に住んでいたのです。イブ・コパンス博士:「山脈の東側では次第に森が消えていきました。草原の中に小さな森が点在する環境が生まれたのです。最初はまだ森が残っていたので、人類は木に登ったり地上を歩いたりしていました。そして、さらに乾燥化が進み、ほとんどの森が消えると、もはや木に登ることはせず、地上だけで生活するようになっていったのです。」 |
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| かつて、広大な森に住んでいた人類とチンパンジーの共通の祖先は、山脈によって隔たられ、東側では豊かな生活を支えてくれていた森が消えていったのです。 小さな森の中に取り残されてしまったものは、食べ物を食べ尽くしてしまえば、遠く離れた別の森に移動しなくてはなりませんでした。その時、彼らは、2本の足で歩き始めたのです。森の木の上の生活の中で知らず知らずのうちに、2本足で歩くための体が作られていたのです。住み慣れた森を離れ草原を目指した時、ついに、2本の足で歩く人類が誕生したのです。 | |
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| ◆ アフリカで森が消えていなかったら人間は生まていなかったかも? | |
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| ◆ ここまでのまとめ | |
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人類の祖先にとって森は、食べ物も豊富で外敵も少ない楽園であったに違いありません。しかし、その森が消えたからこそ人類が生まれたのです。しかも森は、図らずも、2本足で立つ訓練の場となっていました。その準備が整ったちょうどその時、アフリカを襲った環境の大激変で森が消えたのです。楽園で育ったという好運と森が消えたという偶然が人類を生んだのです。2本の足で歩き始めた人類は、まだサルの特徴を多くもっていました。しかし、2本の足で歩き始めたからこそ、今私達がもつ人間としての特徴を獲得していくのです。 |
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| ◆ 草原の生活を脅かす肉食動物 | |
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| ◆ 手を使い石器を作ったロブストス猿人 | |
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ロブストス猿人の脳の重さは、500グラム程度と推測されています。アファール猿人の頃からほとんど大きくなっていません。しかし、このロブストス猿人と同じ時代の地層からは、アファール猿人の頃にはなかったものが発見されています。それは石器です。人類が石器を作ることが可能になったのは、脳が大きくなり知性が発達した為だと普通は考えられています。脳が小さかったロブストス猿人に石器を作ることが出来たのでしょうか?サスマン博士は、ロブストス猿人の脳ではなく手の構造に注目しています。手の構造の新しい進化が、石器を作り出すことを可能にしたのではないか?と言うのです。ロブストス猿人の手の親指の骨に注目すると、全体的に太く、現代人のものと良く似ています。このことは親指の筋肉が発達していたことを示しています。親指と人差指の先で小さな物をつまみ上げるという、ふだん私達が何気なくしている動作は、このように、発達した親指を微妙に調節しながら動かすことによって、はじめて可能になる動作です。 |
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| まだ石器を作ることは出来なかったと考えられているアファール猿人の場合はどうでしょうか?全体的にほっそりとして現代人よりはチンパンジーに似ています。チンパンジーの親指は、他の指に比べて、極端に短くほっそりとしています。親指を動かす筋肉は、人間ほど発達していません。チンパンジーに親指と人差指の先で小さな物を摘ませてみます。しかし上手くいきません。アファール猿人も手の器用さは、チンパンジーとあまり変わらなかったと考えられます。親指の骨が太くなり筋肉が発達することによって、ロブストス猿人は器用に手を使い石器を作ることが可能になっていったとサスマン博士は考えています。アファール猿人以後、人類は木の上の生活を完全に捨てて草原を2本の足で歩き始めました。それによって、それまでの前足は歩く為のものでも枝にぶら下がる為のものでもない、物をもって操るための手として進化することが可能になったのです。 | |
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| ◆ 直立歩行が言葉を話せる要因に、足や手の進化の後に脳が進化 | |
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| ◆ 全ては2本足で歩くことから始まった | |
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R・サスマン博士:おそらく私達は、500万年前以上前には体中に毛が生えた木登りをするサル、チンパンジーのようなサルとあまり変わらなかったのです。違っていたのは、木を降りた時にチンパンジーが前足をついて歩いたのに対し、私達の祖先は2本の足で歩いたという事だけでした。しかし、この2本の足で歩き始めたという事が、今の人類へとつながる進化の扉を開ける鍵だったのです。 |
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| ◆ 肉食動物に怯える事がなくなった人類 | |
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2本の足で歩き始めた事が、大きな脳を持つ事につながりました。 そして人類は、もはや肉食動物の陰におびえる存在ではなくなっていました。フランス中部のソリュートレでは、2万年前の人類の生活をうかがわせる化石が発見されています。この崖の下の葡萄畑から1万頭にものぼる野生の馬の骨が発見されました。当時の人類が殺して食べた残害です。彼らは馬の群れを崖の下に追いつめ、槍などを使って一気に仕留めたと想像されています。この頃には、器用な手を使って強力な武器を作り、言葉による会話でお互いの役割分担を正確に決めることが可能になっていました。組織的で大規模な狩りが行なわれていたのです。かつて、草原でなす術もなく肉食動物に襲われていた人類は、強大な力を手に入れたのです。チンパンジー程度の脳しか持っていなかったアファール猿人。しかし、背骨で脳を下から支える構造をすでに持っていました。このことも、より大きな脳を持つことを可能にしていました。2本の足で歩き始めたアファール猿人から、400万年。ついに、大きな脳を持つ今の人類が生まれたのです! |
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| ◆ 草原への第一歩が人類へつながった | |
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人類の起源についてはまだ多くの謎が残されています。しかし、はっきりしていることは、2本の足で歩き始めた後、様々な道具を使い優れた知性や言葉を持つという、まさに人間が生まれたのです。アフリカで生まれた人類は、2本の足で瞬く間に地球の隅々に広がり、他の動物たちを圧倒する今の繁栄を築きあげてきました。全ては豊かな森で育まれた人類の祖先が、未知の草原へと第一歩を踏み出したことから始まったのです。私達人類の祖先が住んでいたアフリカの広大な森、それは、豊かな果物がたわわに実る安全な楽園でした。その森という楽園を離れるきっかけになったのは、地球の内部の巨大な力がもたらした環境の変化だったのです。今、世界中に広がる私達人類も、地球がもたらした、たった一つの偶然によって生まれたものなのかも知れません。 |
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| ◆ 編集後記 | |
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| ◆ 生命の歴史の年譜(早わかり表) |
| 時代 | 主な進化の過程 | 特徴 |
| 6500万年前 | 最古のサル、プルガトリウス | 恐竜の絶滅以後生存 |
| 1800万年前 | 人間やチンパンジーの祖先、プロコンスル。木の上で生活 | 臼歯を持つ |
| 1500万年前から 500万年前まで |
ミッシング・グリーフ。人とチンパンジーの共通の祖先 地核変動により環境の変化 |
進化の謎の空白期間 |
| 500万年前 | 巨大山脈の出現により東側の草原化 | 東西の分断 |
| 400万年前 | アファール猿人(ルーシー)2足歩行 | 脳の重さ400グラム |
| 200万年前 | ロブストス猿人、手の進化・石器を使用(親指の発達) | 脳の重さ500グラム |
| 100万年前 | 直立2足歩行の完成。言葉を話す | 脳の重さ900グラム |
| 2万年前 | 組織的な狩猟(武器の使用)肉食動物からの開放 | 大きな脳を持つ |