*船上のボーイズ・ライフ*
3.
エキジビションマッチは翌々日の予定なので、それまで存分に海上の旅を楽しんでくれ、と殊更に重厚な部屋で桜吹雪さんは言った。
船内の施設は全て自由に使ってくれていいとも言われ、その言葉に浮き足立ったところでサラリと、今夜は君たちの大歓迎パーティーもあるからね、と爆弾が投下された。
この壮麗な船の上で行なわれるパーティーが、ただのパーティーである訳がない。
「あの、桜吹雪さん、パーティーというのは……」
「試合を観戦するお客さまたちに君たちのお披露目をするんだよ。ディナーは立食だから、ご馳走も好きなだけ食べられるぞ?」
中学生は食べ盛りだからねえ、と恐る恐る切り出した大石先輩は満面の笑顔でピントのずれた答えを返されてかすかに口元を引きつらせ、他のメンバーも恐縮した顔つきになる。
……一部立食ディナーに色めきたった奴もいたが。
「私たちの服装はあまり相応しくないように思うのですが」
見かねた部長が核心をつく。
「なに、心配はいらんよ。ちゃんと用意してある」
なんでもないことのように笑い、まるで洋画のような指を鳴らす合図で運び込まれた九つの大きな白い箱を見て、俺たちは一様に固まった。
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